PinkFloydは、私にとってはじめて経験したプログレッシブ・ロック・バンドでした。初めて聴いたアルバムが「炎(Wish You Were
Here)」なので、全盛期の後半でしょうか。
1967年結成。70年代・80年代・90年代と多くの名作を残してます。
いずれの作品も一貫したテーマを持ち、アルバムを通じてストーリーが流れていくといった”コンセプトアルバム”作りとなってます。
Piper At Gates Of Dawn (1967)
何か引き込まれそうなシド・バレットのボーカルはやみつき おすすめ度:★★★
”サイケデリック・ロック”というキャッチフレーズが妙にはまるデビュー作。ヴォーカル作品は、シド・バレット・ワールドが広がります。彼独特の、何か引きこまれるような(憑りつくともいう(笑))印象的なヴォーカルは、強烈な印象。インスト・ナンバーは、ジャズ風ピアノが印象的なPow R. Toc H、サイケ&ハードなナンバー、Intersteller Overdrive(星空のドライヴ)など音使いが個性的な作品が多いです。個人的には、ポクポク音で始まり、アルペジオ・ギターで終わるThe Scarecrow。そして、バイクの効果音入りの文字通りの”Bike”が好き。
A Saucerful Of Secrets (1968)
前衛性・プログレッシヴなフロイドの最初の作品 おすすめ度:★★★☆
バンドの顔とも言えるシド・バレットが脱退。替わりに加入したデイヴ・ギルモア(g,Vo)が加入。しかしこの交代で、サウンドはややシリアスになり、挑戦的なプログレッシヴな側面が強まったかと思います。ベース音連打で始まり、空間の広がりを感じる1曲目Let
There Be More Light。後半のギターソロがなかなか格好イイ。3曲目のSet The Controls For The Heart
Of The Sun(太陽讃歌)は、ミニマル・ミュージックの雰囲気。そしてタイトル曲A Saucerful Of Secrets(神秘)は、前衛音楽風と難解な作品が並びます。しかしその中でも、リチャード・ライト(Key)の2曲(Remember
Day、See Saw)は、シリアスな曲群の中でなぜか落ち着く清涼剤です。
More (1969)
8日間で録音?駄作ではないが。。 おすすめ度:★★
こ前掲の初期2枚のピンク・フロイドの作品は、1曲目が印象的でしたが、このMoreの1曲目はA Saucerful Of Secrets(神秘)の2番煎じ風に感じます。全体的に見ても、同名映画のサントラですので小作品が並びますが、印象的な曲は”ほのぼのさ”を感じるGreen Is The Colour 、その曲のあとのCymbalineくらいですか。。
Ummaguma (1969)
ライブ盤とデイヴ・ギルモアのソロが気に入ってます おすすめ度:★★★☆
アナログ盤時代は2枚組。A&B面がライヴ盤、C&D面がメンバーの各々のソロ・テイクを集めた作品です。聴き物はライブのCareful With That Axe, Eugene(ユージン斧に気をつけろ)。ロジャー・ウォータースの神秘的なコーラスと、スタジオ盤ではなかった絶叫部分にハッとさせられます。A Saucerful Of Secrets(神秘)の後半のパイプ・オルガン風キーボードから、後半のボーカル(というか”雄たけびコーラス”)部分がライブならではの迫力です。ソロナンバーは、リック・ライト(Key)の中東か西アジアか?って感じで始まるSysyphs。ニック・メイスン(Drums)のThe Grand Vizier's Garden Partyのドラム&パーカッション組曲など前衛性のある曲の中で、デヴィット・ギルモアのThe Narrow Wayは、楽曲としてまとまりがある唯一の曲で気に入っています。ロジャー・ウォータースの長いタイトルの某曲は。。。すみません!ノーコメント(笑)
Atom Heart Mother (1970)
ロックとクラシックの融合 おすすめ度:★★★★
ピンク・フロイドの最初の金字塔的作品。”ロックとクラシックの融合”。このキーワードを見事に実現している素晴らしいタイトル曲(Atom Heart Mother)です。バンドの演奏とオーケストラの演奏。どちらも相互に助け合ってる感じがします。タイトル曲だけなら、クラシックの作品としても通用するくらいと思いますね。続く小曲3曲If..(ロジャー・ウォータース)、Summer'68(リック・ライト)、Sing To Me(デイヴ・ギルモア)もそれぞれの個性が十二分に出ていてGood!特にロジャーとデイヴの2曲は心に残る名作です。ラストの前衛的な長い曲は...朝日の中でどーぞ(笑)。。
Meddle (1971)
名曲エコーズに尽きる おすすめ度:★★★★☆
芸術性もある&まとまりのある曲の第2弾。アナログ盤ののB面全てを使った”エコーズ”に尽きます。何と行っても前奏部分のリック・ライトのキーボードが一度聴いたら忘れられないほどのインパクトがあります。続くギルモアの泣きのギター。。ヴォーカルが入る頃には、フロイド・ワールドに完全に入りこんだ自分がいます。中盤は間延びしますけど、その時間を耐えるとまた何ともいえないフロイド節が戻ってきます。A面の小曲群は、プロレスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャーの入場曲として有名だったOne Of These Days(吹けよ風、呼べよ嵐)。何本にも聞こえるベース音と風の音、そしてギルモアの叫びのギターが好き。ジャズ風ピアノがオシャレなSan Tropez。犬の声とけだるいヴォーカルのSeamusなど、退屈しません。
Obscured By Clouds (1972)
もしかしたら隠れた名盤 おすすめ度:★★★☆
全体的に見ると、もしかしたら”名盤”なのかもしれない。。プログレの作品ではないと隠して、ピンク・フロイドを知らない人に聴かせたら、”良いなあ~”という人が多いかも。。Burning Bridges、Wots...Uh The Deal、Stayなど、落ち着いて聴ける曲があり、Mudmanのような心に残るインストナンバーもある。タイトル曲は緊張感みなぎり、2曲目への繋ぎが印象的。 あ、そうそう。。2曲目のWhen You're In...を聴いて、”清水健太郎”をイメージすることができる人。あなたは、古くからのフロイド・ファンですね。。(70年代の名物バラエティ番組、ぎんざNOW!の木曜日、「男のバイブル」 コーナーのテーマ曲でした!)
The Dark Side Of The Moon (1973)
ロック界の歴史に残る金字塔アルバム おすすめ度:★★★★★
彼らの最高傑作。というよりも、全ての洋楽アルバムのなかで、5本の指に入る名作と言えます(全米アルバムチャート連続ランキング記録樹立)。心臓の音で始まるSpeak
To Me~Breathe、逃亡中の人の心理?を描いたOn The Run、突然時計の鳴る効果音で始まるTime、女性のスキャットが美しいThe
Great Gig In The Sky、シングル・カットされMoney(なぜか、この曲を私の父はアラビアンナイトみたいって言う)など、全ての曲が切れ間なく流れていきます。
この作品を聴かないで洋楽ライフを過ごしている方!あなたは不幸。
それほどの名盤です!
Wish You Were Here (1975)
淋しさが漂う懐かしいアルバム おすすめ度:★★★★☆
静寂の中からFade Inで迫ってくるシンセサイザーの音から始まる13分を超える大作、Shine On You Crazy Diamondで始まるこの作品は、前作にも増してサウンドが前面に出ています。シングルカットされたHave
A Cigarも良いですが、私はタイトル曲のWish You Were Here(邦題:あなたがここにいてほしい)が大好きです。アコースティックギター弾き語りで始まり、David
Gilmour のかすれ気味のボーカルが重なり、間奏のスキャット。う~ん。名曲だ。
この作品、”内向的”な作品との声を良く聞きます。Shine On~とWish You were~で感じる淋しさ・懐かしさが最大の魅力ではないかと思います。
Animals (1977)
ハードなフロイドの真骨頂 おすすめ度:★★★☆
前作と比べてしまう悪い癖のある私ですが、このアルバムははっきりいって退屈です。最初と最後はアコースティックなPigs On The Wing。あと3曲の大曲という構成。アナログ時代のA面の大部分を占めるDogは、間延びした構成で嫌いです。Pigは、トーキング・モジュレター(?)のギター・サウンドが面白いけれど退屈。唯一、Sheepはハード&緊張感が素晴らしい作品だと感じます。ロジャーの声がシンセの音にだんだん変わっていくサウンド処理が面白い。尻あがりに良くなっていく。。そんなアルバムです。全体的にはハード・ロック好きの人は気にいるサウンドかもしれません。
The Wall (1979)
人間の深層心理への旅 おすすめ度:★★★★☆
確か、1980年の全米年間NO.1アルバムであったと記憶してます。2枚組のこの作品は、70年代の”長い曲指向”をやめ、短い曲をストーリー形式で聴かせる手法になったと思います。ステージに序々に壁を築いて行き、最後に破壊するWallConcertや、ボブ・ゲルドフ (ブームタウンラッツ)が主人公の同名映画などが話題になりましたね。
Another Brick In The Wall を始めとして、RogerWaters(b)主体の作品で、印象が暗いです(そんな時代だったのでしょうか?)。しかし、何回か聴き、詩を読んでいくときっと良さがわかると思いますよ。
イチオシは、Gilmourの作品のComfortably Numbです。泣きのギターにシビレます。
The Final Cut (1983)
ロジャー・ウォータースの私的アルバム おすすめ度:★★☆
The Wallの続編で、ロジャー・ウォータースのソロアルバムと言っても過言ではない作品。戦争や政治的なメッセージの歌詞を読んでサウンドに耳を傾けると”暗さ”が身に染みます。The Wallは聴き込むと良さが分かって来ましたが、このアルバムは暗さのみが残ります。マニア向けでしょうね。。
A Momentary Lapse Of Reason (1987)
デイブ・ギルモア中心のピンク・フロイドの門出 おすすめ度:★★★☆
このアルバムから、ロジャーは抜け、デイブ・ギルモア主体のピンク・フロイド。
日本語タイトル「鬱」と題されたこのアルバム。個人的には、ギルモアのギターがAnimals以来、久々に全開!という感じで気に入ってます。しかし、それぞれの曲の進行は淡々として、何回聴いても残るものはギルモアのギターの音だけ。。でも、そんな彼のギターが好きです!
The Division Bell (1994)
外に目を向け始めた?フロイド おすすめ度:★★★★
90年代に入り、もうピンク・フロイドの新譜はないな。。と思っていた頃、突然リリースしたな!って思い出があります。
アルバム「Wish You Were Here(炎)」のShine On Crazy Diamondを彷彿させるインスト・ナンバーのCluster
One。続く、What Do You Want From Me。一番印象的なのは、リック・ライトの復活でしょうか?炎より前の作品で聴かれたオルガンの音が懐かしい。彼が自らリード・ボーカルをとっている作品もあります(Wearing
The Inside Out)。ギルモアの歌も前作よりも感情がこもっていて好きです。外=現実に目を向けた新しいフロイドがそこにいる感じですね。聴きやすさでは80年以降のアルバムでは1番かなと思います。
The Endless River (2014)
フロイド回顧 おすすめ度:★★★
21世紀。Live8での復活ライブ。そしてリック・ライトの死去。ピンクフロイドは終わったと思っていた2010年代に前作The Division Bell時のセッションで生まれた楽曲を元に、残ったメンバー(デイヴィッド・ギルモア、ニック・メイスンとゲストミュージシャンを加え作り上げた作品。タイトル曲はリック・ライトへのトリビュート曲。
プログレッシヴではなく、懐かしいピンクフロイドの音が拡がります。。
レビュー終わり