GENESIS(全レビュー)

 

Genesis はPeter Gabriel(Vo)を中心とした前期、Phil CollinsがVocalとDrumを兼任した4人組時代の中期、全米Hitを飛ばしたMike Rutherford(g,b),Tony Banks(Kes)とPhilの3人組時代の後期に大別できます。Philが抜けたCalling All Stationsは”末期”でしょうか?
 私のFavoriteは特にPeterの絶頂期とPhil時代の初期が好きです。アルバムイメージは、どれも”中世の城のイメージ”ってところでしょうか。21世紀に入ってからは復活ライブなどありますが、新しい作品ではないので当サイトでは割愛します。

 


Genesis(70年代)

 

 最近のプログレッシブ・ロック・ファンの皆様には後回しにされがちなジェネシス。CDショップのVirgin Megastoreさんでは、プログレ・コーナーから追い出されているくらいですから(笑)。それだけ、80年代のフィル・コリンズのジェネシスの印象が一般的に強いのでしょうか?
 ジェネシスは長い歴史のあるバンド。バンドの前期と言える時期は、フロントマンのピーター・ガブリエルを中心としたストーリー性のあるコンセプト・アルバムが中心でした。70年代後半からはピーターが抜け、フィル・コリンズ(d)がヴォーカルを担当し、フロント・マンとして活躍。しかし70年代の作品は、総じてバックを支えるサウンドの要、トニー・バンクス(key)、スティーブ・ハケット(g)の”縁の下の力持ち”が支配していたと思います。私のイチオシは、4人組時代の2枚です。


From Genesis To Revelation (1969)

’60s ポップス・ファンにおすすめの1枚 おすすめ度:★★

 時代を感じさせるデビュー・アルバム。全体的に感じる印象は、静かなピーター・ガブリエルの聴かせるヴォーカル+アコギ+ピアノ+オーケストラ風キーボード+コーラスの曲が多いです。ビー・ジーズ風な曲 「The Silent Sun」 があったり、当時流行った、”サイケデリック・ロック”というキー・ワードを感じる 「In The Beginning」のような曲があったり。。これは、プロデューサーのジョナサン・キングの影響もあるのでしょうか。彼らが世の中にでるきっかけとなった1枚ですが、セカンド・アルバム以降と比較すると、一般的なポップス・アルバムの域を出ていないのではと感じます。このアルバムのジャケット&内容は何種類もあるようです。私の所有しているのは、13曲+ボーナス4曲バージョンです。このCDの音源は、初代ドラマーChris Stewart期と2代目ドラマーJohn Silver期の両方を網羅しているようです。

Member:
Peter Gabriel (Vo,Fl),Anthony Philips (g,Vo),Michael Rutherford (b,g,Vo),
Anthony Banks (Key,Vo),Chris Stewart (ds),John Silver (ds)


Trespass (1970)

プログレッシブなジェネシスの真のデビュー おすすめ度:★★★

 このアルバムがジェネシスのデビュー・アルバムと信じて疑わない方も多いのでは(私もそうでした)?ピーターのヴォーカルは多彩さを増し、バックのサウンドも電子楽器(オルガン&メロトロン)を多用するようになり、曲の構成も複雑に。まさにプログレの芽が出たアルバムと言えるでしょう。ジェネシスの”名物”12弦のストリングギターもこのアルバムから強調されはじめてきています。プロデュース&エンジニアが変わったこともサウンドの変化の要因でしょうか。このアルバムで私が特に好きな曲は「Stagnation」。ピーターの絶叫ボーカルと、後のジェネシスで ”お馴染みのフレーズ” が聴けます。初の大作「Knife」はサウンドの緊張感が良いです。

Member:
Peter Gabriel (Lead Vocal,Flute,Bass Drum),
Anthony Banks (Piano,Organ,Mellotron,Guitar,Backing Vocal)
Michael Rutherford (Bass,Backing Vocal)
Anthony Philips(Guitar,Backing Vocal),
John Mayhew(Drums,Percussion,Backing Vocal)


Nursery Cryme (1971) 

ストーリー性を重視したコンセプトアルバム おすすめ度:★★★

 このアルバムより、スティーヴ・ハケット(g)・フィル・コリンズ(d)が加入。サウンド面が特にパワー・アップし、アルバム作りもよりコンセプト面が重視されたように感じます。人の頭をボールにしたクリケットをする少女を描いた不気味なジャケットの如く、サウンド&ヴォーカルとも”おどろおどろしさ”を増してます。詩も物語り調。配役が存在する物語調の曲も登場し、70年代ジェネシスSound&Lyricsの基礎となった作品であると思います。初期の代表曲「The Fountain Of Salmacis(サルマシスの泉)」がイチオシです。

Member:
Peter Gabriel (Lead Vocal,Flute,Bass Drum),
Anthony Banks (Piano,Organ,Mellotron,Guitar,Backing Vocal)
Michael Rutherford (Bass,Backing Vocal)
Steve Hackett(Guitar,Backing Vocal),
Phil Collins(Drums,Percussion,Backing Vocal)


Foxtrott (1972)

大作指向ジェネシスの極致 おすすめ度:★★★★

 このアルバムは、何と言っても20分に及ぶ大作、サパーズ・レディーに尽きます。物語調の詩や見事な組曲構成。次に何が出てくるかわからない展開が楽しいです(聴き慣れてしまうと感じませんが)。この曲のステージで、ピーターがフラワーマンに変身するのです(笑)。サパーズ・レディーの前奏としても聞える「Horisons」は朝のイメージにピッタリのギター・ソロ曲。短いですが、スティーブ・ハケットの力量を感じる一曲です。

 

Member:
Peter Gabriel (Lead Vocal,Flute,Bass Drum),
Anthony Banks (Piano,Organ,Mellotron,Guitar,Backing Vocal)
Michael Rutherford (Bass,Backing Vocal)
Steve Hackett(Guitar,Backing Vocal),
Phil Collins(Drums,Percussion,Backing Vocal)


Genesis Live (1973)  

これは映像で見てみたい。。おすすめ度:★★

Trespass~Foxtrottまでの曲を集めたライブ・アルバム。私が初めて聴いたジェネシスのアルバムなので、愛着はありますね。ただ、後にスタジオ盤を聴いたとき、ライブならではの。。。という特徴に乏しく感じました。やはり、ピーター期のジェネシスのライブは映像があっての素晴らしさなのでしょうか?

 

Member:
Peter Gabriel (Lead Vocal,Flute,Bass Drum),
Anthony Banks (Piano,Organ,Mellotron,Guitar,Backing Vocal)
Michael Rutherford (Bass,Backing Vocal)
Steve Hackett(Guitar,Backing Vocal),
Phil Collins(Drums,Percussion,Backing Vocal)


Selling England By The Pound (1973)

ピーター期の集大成作品 おすすめ度:★★★★★

 前作までのおどろおどろしさは影を潜め、ピーターのみでなく、全員が主張を始めた作品といえるかもしれません。特に、「Firth Of The Fifth」のトニーとスティーブのサウンドの主張が光ります。フィルも「More Feel Me」でフロント・ボーカルを担当したり、一風ゴキゲンなスマッシュ・ヒット曲、「I Know What I Like」も収録されてたりと聴きどころが多数あります。圧巻は、後のジェネシスでもよく演奏される「Cinema Show」ですね。曲の盛り上げ方が最高です。全体のイメージもジェネシス特有の物語調・セリフ調の詩で、”中世風”のコンセプトに沿って進行していてまとまっていると感じます。

Member:
Peter Gabriel (Lead Vocal,Flute,Oboe,Percussion),
Anthony Banks (Keyboards,12String Guitar)
Michael Rutherford (Bass,12String Guitar)
Steve Hackett(Guitar),
Phil Collins(Drums,Percussion,Vocal)


The Lamb Lies Down On Broadway (1974) 

散漫・覚えにくい曲が多い。。 おすすめ度:★★★

 ピーター在籍時のラスト・アルバム。アルバム全体が切れ目なく進み、中には親しみやすい曲(Cuckoo Cocoon、Carpet Crawlers)や、リズム・展開が印象的な曲(Back In N.Y.C.、In The Cage、Riding The Scree)なども含まれているのですが、全体的には聴き終わると散漫に聞こえます。中盤~後半あたりが特に覚えにくい曲が多いです。このアルバムはジェネシスが好きになったら最後に入手されることをおすすめします。(何回聴いても難解です) 聴きこめば、ジェネシスの”ホワイト・アルバム”なのでしょうけど。。。私は未だにその域に達してません。

Member:
Peter Gabriel (Lead Vocal,Flute),
Anthony Banks (Keyboards)
Michael Rutherford (Bass,12String Guitar)
Steve Hackett(Guitar),
Phil Collins(Drums,Percussion,Vocal)


Trick Of The Tail (1976)

ドラマティックな名作です おすすめ度:★★★★★

 Phil Collinsが全曲Vocalを担当した初のアルバム。おどろおどろしい前奏から始まるDance On A Volcano、最後のLosEndosなどは、ドラムがPeter時代より前面に出てきてます。でも、特筆すべきは、バラード曲の美しさとPhilの叙情的なVocalでしょう。Entangled、Mad Man Moon、Ripplesの3曲は泣けます。ピーター在籍期のサウンドを継承しつつ、ピーターがいなくてもこれだけの作品を作り上げる力量には敬服です。

Member:
Phil Collins(Drums,Percussion,Lead Vocal),
Anthony Banks (Keyboards)
Michael Rutherford (Bass,12String Guitar)
Steve Hackett(Guitar),


Wind And Wurthering (1976) 

プログレ・ジェネシス最後のスタジオ・アルバム おすすめ度:★★★★

 Trick~に続くこの作品は、Steve HackettのギターとTony Banksのキーボードが主役です。ちょっとシングルでヒットしたYour Own Special Wayを始め、ライブの際にメドレーの最後で必ず演奏されたAfterglowなど名曲があります。邦題『静寂の嵐』は、この作品をよく表したタイトルだと思いますね。10分におよぶOne For The Vineが特に好きです。Philの甘い声が最高です。

Member:
Phil Collins(Drums,Percussion,Lead Vocal),
Anthony Banks (Keyboards),
Michael Rutherford (Bass,12String Guitar)
Steve Hackett(Guitar)


Seconds Out (1977)  

代役フィルが代役でなくなった時。。 おすすめ度:★★★★

 このライブ作品を聴いていると、フィル・コリンズの一生懸命さが伝わってきます。ピーター期の観客が馴染んだ曲のステージでの再現。これは大きなプレッシャーだと思います。フィルはフィルなりの表現力で歌い上げます。Musical Boxが迫力不足ですけど、努力に敬服。フィルおよび他のメンバーの自信がにじみ出た作品に仕上がっていると思いますね。Suppers Readyを収録したのがその表れでしょう。圧巻は、ラストの2曲。Cinema Show、Dance On A Volcano~Los Endos。ツインドラムが生えます。

Member:
Phil Collins(Drums,Percussion,Lead Vocal),
Anthony Banks (Keyboards)
Michael Rutherford (Bass,12String Guitar)
Steve Hackett(Guitar),
(Support Member)
Chester Thompson(Drums)
Bill Bruford (Drums)



GENESIS 3人組

70年代は、プログレッシブ・ロックの代表グループの1つだったGenesis。78年発表の「And Then There Were Three..(そして3人が残った)」より短めで一般受けする音楽に変貌していきました。
Tony Banks(Key)、Mike Rutherford(bass,Guitar)
そしてPhil Collins(Drums,Vocal)のトリオ編成Genesis。。。
各々のソロ活動を並行して進めながら”新しいGenesis”を作り上げていきました。


And Then There Were Three...(1978)

冬にオススメのアルバム おすすめ度:★★★★

3人のジェネシスの新しい門出となった作品。なぜか抑え目なサウンドです。(なぜかこのアルバムは、音が小さめに録音されている。紙ジャケットはどうなんでしょうか?) 1曲の長さが比較的短くなりましたが、Burning Ropeのようなインスト重視の作品が残っています。サウンドのイニシアチブは、キーボードのトニー・バンクスが握っているように感じます。全編ジャケットの如く、夜のイメージ。。また、冬のイメージを彷彿させるトニーのシンセが支配しています。ラストのフォロー・ユー・フォロー・ミーで全米チャートに登場し、ファン層を広げたのは言うまでもないですね。。


Duke (1980) 

ポップなジェネシスの基本作品 おすすめ度:★★★★★

このアルバムを聴いて、プログレ時代を知る人は、変わったなと感じたと思いますがいかがでしょうか?フィル・コリンズのソロアルバムでも採りあげられた、ビハインド・ザ・ラインズに始まり、ダッチェス~ガイデッド・ヴォーカルの3曲のメドレーで、前作のもやもやした感じが吹っ飛びました。フィルの別ユニット、ブランドXのフュージョン系サウンドの経験が生かされてます。フィルのエンターテイメントなステージは、このアルバムの”君のTVショー”で花開いたと言えるでしょうね。70年代ジェネシスが思い出される曲”ヒート・ヘイズ”が入っていて、オールド・ファンも納得の1枚。


Abacab (1981) 

よりポップ路線が強まった作品 おすすめ度:★★★

前作と変わって、長い曲がぐっと減り、フィル・コリンズのポップ・路線に拍車がかかった1枚。アース・ウインド&ファイアーのホーン隊が参加した、ノー・リプライ・アット・オールは新生ジェネシスの最たる曲でしょう。個人的にはシーケンサーが使われたタイトル曲は単調で好きではありませんね。ジャケットの色は何種類かあって、全部揃えた方もいるでしょうね(笑)。


Three Sides Live (1982)

何で収録曲変えたの?(メーカー殿) おすすめ度:★★★

 CDとアナログ時代の曲目が違っていますのでご注意を。。。
アナログには、DUKEとABACABよりの曲を中心のライブが3分の2(つまりレコード3面)あり、残りはアース・ウインド&ファイア風な”ペーパレイト”などのスタジオ・ナンバーが入っていました。ライブの圧巻は、やはりオールド・ナンバーの”イン・ザ・ケージ”、”シネマ・ショー”のメドレー部分です。
 現在売っているCDでは、あの永遠の名曲、ワン・フォー・ザ・ヴァインが入っているので買いですね。→でも、コレ、タイトルがThree Sideじゃ合わないのでは。。 詳しい事情は知りませんが、後に発売した編集アルバムのほうにPaparateと他数曲は移動したみたいですね。(納得いかない!!)


Genesis (1983)

暗いイメージのアルバム おすすめ度:★★

↑でもお好きな方多いようですね(謎)
ひとことで言って”暗いイメージ”のアルバム。このアルバムからシングル・カットされたザッツ・オールで全米チャートの上位にチャートインしたときは驚きました。シンプルな古めかしく感じる演奏でしたが、当時はインパクトがあったのでしょうか?アルバム自体は私は?マークです。退屈なリズムボックスに怪奇風のシンセの1曲目のママ。無理やり昔の怪奇調を出してもねー。ホーム・バイ・ザ・シーのメドレーも退屈極まりない。(このアルバムのファンの方ごめんなさい!あくまでも私見ですので。。)


Invisible Touch  (1986)

親しみやすさNo.1アルバム おすすめ度:★★★★

3年のブランクを経て出たこのアルバム。ABACABあたりから顕著で、前作では耳についたシーケンサーがうまくサウンドに溶け込んでいます。シングル・カットされたタイトル曲は、覚えやすいフレーズ(同じフレーズですが)を繰り返してますが、構成が良いので飽きませんね。シンプルなスローイング・イット・オール・アウェイもフィルのヴォーカルが映えます。長めの曲、トゥナイト・~ ドミノもありますが、なぜか飽きないです。前作からイメージが明るくなったからでしょうか?


We Can't Dance (1991) 

3人組ジェネシスの集大成アルバム おすすめ度:★★★★★

 90年代、(つまらないと思って)洋楽から離れていた私が聴いていた数少ない1枚。イントロの時計の音からわめくような効果音の後に、力強いドラミングと力強いフィルのヴォーカル。このアルバムは、私見ですが、ジェネシスの集大成とも言えるアルバムではないでしょうか?安心して聴いていられるのです。フィルのソロっぽい曲が多くあり(ホールド・オン・マイ・ハートなんかそうですね)、長い曲も多いですが演奏&ヴォーカル・ラインが芯が通っているので飽きません。フィルのジェネシスのラスト・アルバムの匂いを感じるラストのフェイディング・ライツ... 泣けます。。


Calling All Stations (1997)

ピーター懐古?まさにトニー&マイクのアルバム おすすめ度:★★★★

96年のフィル・コリンズ脱退後、残されたトニー・バンクス(Key)とマイク・ラザフォード(g,vo)が新ヴォーカリスト、レイ・ウィルソン(vo)を迎えて制作した作品。
 肝心の音はというと、サウンド自体はフィルがいた80年代の作品の路線。特に、アルバム”Genesis"の頃の重厚な雰囲気が漂います。しかし、”不気味調”ではなく、バラード調で美しいシンセの音が印象的な曲が多くあります。”ピーター・ガブリエルが落ち着いた”ような声質のレイのヴォーカルが”幻想的”な雰囲気を醸し出します。彼のヴォーカルから”ピーター時代の懐古作品”との評価の声もありますが、むしろシリアス性が加味された作品。”ポップ”な音ではないですけれども、なぜか懐かしさを感じる...そんな作品です。


 

レビュー終わり


2022年06月16日|ブログのカテゴリー:プログレ